セミネッター(515)

レンズを押さえる謎のリング

by ジャンク大帝

カメラについて

 「ネッター」は,ツァイス・イコン社からスプリングカメラ「イコンタ」の廉価版として発売されたシリーズのカメラである。このカメラの画面サイズは6cm×4.5cmで,「セミネッター」ともよばれる。「セミネッター」には,レンズやシャッターにいくつかのバリエーションがあるが,Nettar-AnastigmatレンズとDERVALシャッターの組み合わせは,そのスペックから見て,最廉価版ではないかと思われる。

入手

 2009年7月に入手。

症状

 レンズに激しいカビ,汚れが見られる。

前玉を清掃

 このカメラに搭載されたNettar-Anastigmat 7.5cm F6.3は,3枚構成のレンズである。貼り合わせ面がなく,構成するレンズの数も少ないことから,分解すれば簡単に清掃できるはずである。

 このような前玉回転式のピント調整のレンズは,ピントリングにつけられた小さなネジをはずせば,簡単に前玉をはずすことができる。ピントリングをまわして,2周目の無限遠のところでちょうどはずれた。

 これで,前玉の表裏を簡単に清掃することができる。

中玉を清掃

 前玉を清掃したら,次は中玉である。表側はそのまま清掃できるが,大きな汚れはこの裏側にあった。
 ところが中玉は,見慣れないリングで止められている。

 このリングは,押してもまったく動かない。きっちりとはまっているようだ。シャッター部分を分解しなければならないのだろうか?それは,できるだけ避けたい。
 いろいろいじってみたが,リングの切れ目にドライバをつっこむと,あっさりをリングは浮き上がってきた。

 このリングさえはずせば,中玉を取りだして清掃できる。シャッターの「T(タイム露出)」を利用すれば,後玉の清掃も簡単にできるわけだ。

 このカメラは,シャッターの動きも蛇腹の状態も悪くない。レンズの清掃だけで,実戦配備が可能になった。

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