コレレ

革を使わず蛇腹をつくる

by ジャンク大帝

カメラについて

 「コレレ」は,フランツ・コッホマン社が1930年代後半に発売されていたスプリングカメラのシリーズである。「コレレ」には何種類かのフォーマットのものがあったが,これは6×4.5判のものである。当時のスプリングカメラは,ツァイス・イコン社の「イコンタ」に類似した2本のタスキでレンズボードを支える形状のものが多いが,このカメラは4本の腕でレンズボードを支えるようになっている。

症状

 経年劣化のために蛇腹が崩壊。

蛇腹

 この種のカメラは,蛇腹を使用しているために内部反射が少ないことから,一般的に描写は良好であるといわれている。しかし,蛇腹は一般に皮革でつくられているため,撮影や収納に伴って何度も折りたたみを繰り返していると,次第に折り目や角が擦れて薄くなってくる。そして,ピンホールが生じて「プラネタリウム状態」になると,きちんとした撮影はできなくなる。また,経年変化による劣化の影響も受ける。

補修

 ピンホールが生じた程度の状態であれば,液体ゴムと言われるものを使ったり,パッチをあてることで十分に対応できるが,この「コレレ」は症状がさらに悪化して,あちらこちらが破れてきた。もはや,補修というレベルでは対応できそうにない。そこで,蛇腹を作ることを考えた。しかし,つくり方や材料などは,まったく見当がつかない。そこで,適当な皮を使って,袋蛇腹的なものを作り,代用してみることを考えた。
 用意したものは,およそ20cm角の黒い豚スエードである。これを袋状に接着し,蛇腹を取り去ったレンズボードとボディに接着してみた。しかしそれでは,あまりにカッコ悪い。

蛇腹をつくる

 蛇腹をつくるには,素材を細かく折りたたむ必要がある。また,実際の蛇腹は薄い革が使われている。しかし,革をこのように細かく折るのは難しそうだし,そもそも蛇腹に使われるような薄い革は,手軽には入手できないようである。
 そこで,ダイソーで見つけた「製本テープ」を代用品として使うことにする。まずは,型紙をつくる。

 折目をつけたら,蛇腹として組み立てる。外側には「製本テープ」を貼り,内側には黒いアクリル絵の具を塗り重ねていくことで,十分な遮光性と強度を得られるようにする。
 革でつくったものほどの強度や耐久性は期待できないが,なにより薄くつくることができるのが好都合である。

←前へ リスト 次へ→