ニコン F-501 AF

非AiレンズをプログラムAEで楽しもう。

by ジャンク大帝

カメラについて

 ニコンで初めての(F3AFを除く)オートフォーカス一眼レフカメラとして,1986年に発売された。マニュアルフォーカスからオートフォーカスへの移行期であることから,マニュアルフォーカス用のレンズを使うことに対しても一定の配慮がされている。具体的には,電気接点ではなくピンによってレンズの開放F値や絞りこみ段数を伝達するようになっており,電気接点のないマニュアルフォーカス用レンズでもプログラムAEが使えるようになっている。この後に発売されるニコンのオートフォーカス一眼レフカメラでは,マニュアルフォーカス用レンズではマニュアル露出と絞り優先AEしか使えなくなっており,さらには露出計が連動しないような機種もある。
 ニコンF-501AFは,マニュアルフォーカス用レンズでの使用に配慮されているとはいえ,1977年以降に発売されたAi(開放F値自動補正)方式のレンズにしか対応していない。Aiレンズ用の連動ピンが支障となって,Ai方式に対応していないレンズは装着できないためで,Ai化改造を施されていない初期のニッコールレンズを使用することができない。一方で,Aiレンズ用の連動ピンと,レンズの絞りリングとが連動しなければ,カメラに内蔵されたTTL露出計を開放測光で使うことはできない。
 ニコンでは,Aiレンズに対応する初期のボディでは,Aiレンズ用の連動ピンを倒すことができるようになっていた。そのようなボディにはプレビューレバーもあり,Ai化改造を施されていない初期のニッコールレンズを,絞り込み測光で使用することができていた。

入手

 File0056でニコイチ再生したカメラの残骸を利用している。

状況

 File0056で書いたように,ニコイチしたうちの1台は,AFカプラが故障していた。もう1台は,Aiレンズ用の連動ピンが故障していた。そこで,AFカプラが故障していたF-501AFからAiレンズ用の連動機構を取り出して,Aiレンズ用の連動ピンが故障していたF-501AFに移植した。これで,1台のF-501AFがニコイチ再生された。するとあとに残ったものは,AFカプラが故障しており,Ai連動ピンも故障している,どうにも使えそうにないF-501AFの残骸である。

改造

 AFカプラの故障はどうしようもないし,邪魔にならないので放置する。一方で,Ai連動ピンは,Ai方式以前のレンズをつけるときの支障になるから撤去することにした。露出計連動のピンがなくなると,F-501AFで開放測光ができなくなる。しかし,それは問題ない。なぜならば,F-501AFのAE(絞り優先AEおよびプログラムAE)は,開放測光ではなく瞬間絞り込み測光だ。シャッター動作時に,実際に絞りを動作させたうえであらためて測光し,シャッター速度を決定しているのである。ただし露出計表示は開放測光なので,露出計表示があてにならないことになる。
 改造では,とくに難しいことはおこなわない。Ai連動ピンのついたリングを撤去し,内部の接点を初期状態のところで固定しておく。そして,リングを撤去した跡を,適当にふさいでおくだけである。

 これで,Ai化されていない初期のニッコールレンズを装着できるようになった。

 先にも書いたように,F-501AFのAEは,瞬間絞り込み測光である。
 絞り優先AEでは,絞りに応じて実際のシャッター速度が変化する。ただし露出計表示は開放測光なので,絞りの設定を変えても,露出計の表示は変化しない。開放状態のシャッター速度が表示されているので,実際のシャッター速度はそこから自分で計算するしかない。これは,慣れてしまえば難しいことではない。

 また,プログラムAEも,瞬間絞り込み測光である。基本的には最小絞りにしてシャッターレリーズ動作をおこなえば,被写体の明るさに応じてシャッター速度や絞り値がちゃんと変化する。露出計表示は,「じゅうぶんに明るいときは,常識的に絞りこんだときのシャッター速度」「暗いときは,開放絞りでのシャッター速度」に近いものを表示していると考えておいて問題ない。Sタイプのレンズでない場合は,ボディ側から絞りを精密に制御できないので,露出計の表示とはややずれたシャッター速度になる可能性があるが,大きな差にはならないと考えられる。そもそもプログラムAEで使いたいときは,そこまで厳密な絞り値やシャッター速度値にこだわっていないはずだ(こだわるときは,絞り優先AEやマニュアル露出を使うだろう)。

 ニコイチ再生の残骸でつくった簡単な改造品であるが,初期のニッコールレンズでプログラムAE撮影を楽しめる貴重なボディとなる。

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