キヤノンEOS650

動くまで根気よくクリーニング

投稿者:KEN様

カメラについて

 1987年に発売された,キヤノンのAFシステムカメラの初代機である。同時に発売されたEOS620の下位機種にあたる。

入手

 1998年10月に3000円(消費税別)で救出。

問題点

 シャッター幕に粘りがあって,正常に動作しない。

入手の経緯

 とある土曜日に,まず私はキタムラ祇園店に行き,ジャンク大帝が目を付けているフジカAZ-1が¥4,000で売られているのを発見した。カメラをチェックしたところ,ファインダーがカビとバルサムでひどく汚れ,モルトプレーンもベトベトになっている事以外はほぼ正常であり「問題は有るが再生可能な状態」と判断した。私が買っちゃおうかとも思ったが,ここはジャンク大帝との友情を優先して,買わなかった。その代わり店員に「来週末までには売れますよ。買う人を知ってますから」と告げて,店を去った。
(ジャンク大帝オレさん,早く行かないと売れちゃうよ! その時同じ会社のカメラコレクター友人と一緒になって,彼も目を付けていたから)

(11月2日現在,すでに売れてなくなっていました。(^_^;)

 次はキタムラ高取店に行った。そこにはEOS650が¥3,000という破格値で陳列されていた。外観は非常に綺麗でABランククラスと思われる。早速店員を呼び安い理由を聞くと,「シャッターに粘りがある」とのこと。裏蓋を開けるとシャッター幕の1/3ぐらいがオイルでべっとりと汚れ,時々シャッターが貼り付いたままになってしまう。また作動した時でも特に速いシャッターは幕が開かない「カラ落ち」状態だった。以前EOS630のシャッターを修理に出し約¥12,000程の請求書を受け取った経験のある私は(修理そのものは保証だった),暫く考え込んで購入を見送った。¥3,000+¥12,000=¥15,000であり,この価格で1NではないEOSをもう一台入手したいという理由は無かった。

 その日家に帰ってから,私は二つの事を思い出した。一つはジャンク大帝の掲示板にある「二個一」のご教示。これを思い出し,「既にEOS630を持っているので,将来の部品取り用にもう一台EOS600シリーズがあっても良いのではなかろうか」と考え直した。EOS630のシャッターは交換したての新品だから,シャッター以外の部分に問題のないEOS650は部品取り用に最高である。またEOS600シリーズの通産省指導による保守部品保有義務期間はもうすぐ終わる。
 もう一つは最近購入した「中古カメラGET 国産機械式カメラの修理入門」の記事である。「シャッター幕のオイルによる貼り付きは,ベンジンで掃除をすれば直る」というもの。EOS650は電子式カメラだが,オイルで汚れた為にシャッターが貼り付いているのはメカニカルな故障であり,同じ方法で修理可能ではないか?と。
 そんな事を土曜の夜,布団の中で考えながら「よし,明日は朝開店と同時にEOSを買おう」「買ってベンジンで掃除してみよう。それで直れば実戦配備,直らなければ部品取り用保存だ」と決心し,眠りに就いた。

 日曜日,天気が良いので私は撮影機材一式を携えて,何はともあれキタムラ高取店にクルマを飛ばした。そしてEOS650をゲット。請求金額は¥3,000+消費税。チノンスプラッシュAFのときにも語ったが,私は貧乏である(笑)。¥3,150などという大金は滅多に持ち歩かない。だから,今回もまたこの代金をキタムラのポイントカードで支払った。¥840すら満足に現金で払えない私には,¥3,150は当然支払い不能なのである(笑)。
 次に向かった所はいわゆるDIYの店である。そこで私は「ベンジン」を購入した。¥225+消費税。DIYの店ではキタムラのポイントが使えないので,仕方なく泣け無しの現金で支払った。
 その後は公園に行き落ち葉の撮影などをし,また,中古車を見て歩いて(15年物のクルマに乗っているので,買い換えを検討中なのです),一台ほど新古車(走行35km)を買ってから家に帰った。

再生への工夫

 家に帰ると,娘も女房も,そして勿論私も関心の的は¥3,000のEOS650である。10年ぶりのクルマの購入のことなど3分で話題が途絶えた。私はベンジンと大量の綿棒を用意して別室にこもり,シャッター幕の掃除を始めた。
 取りあえず表面のオイル汚れが綺麗になったところで,シャッターを切ってみた...全く動かない! 何度かシャッターボタンを押すと,ゆっくりと先幕が動き出した
 が,これは掃除を始める前よりも状況が悪化している。そして,何度か動かしている内に,シャッター表面にはまたオイルが付着していた。

 私は半ば諦め気味に淡々と掃除を続けた。掃除を続けること30分。使った綿棒数十本。裏側からだけではなく,ミラーを手ではね上げて表側からも綺麗に掃除した。ここまで来ると,シャッターは幾分スムーズに動くようになってきた。でもまだ正常な状態ではなく,高速シャッターの「カラ落ち」状態は直っていない。
 これは表面だけではなく,シャッター幕とシャッター幕の間のオイルを完全に取り除かないとダメだと悟った私は,レンズクリーニング用の不織布を細長く折り畳み,ベンジンを染み込ませてシャッターの幕と幕の間を,36mmx24mmのマスクに隠れた奥の方まで念入りに掃除を始めた。更に30分ほどが経過し,不織布に付く汚れが大分減ってきたので,又私はシャッターを切ってみた。すると軽快にシャッターが切れる様になった!!しかしまだ問題は残っていた。1/1000以上の高速だと,最初のワンショットがまだ「カラ落ち」になる。連射すれば二コマ目からはちゃんと開くようなのだが,3分も置いてから再度シャッターを切ると最初のショットが「カラ落ち」なのだ。
 あと一歩だ!という感触を掴んだ私は,更に掃除を続けた。更に30分が経過し,もはや不織布には汚れが付かなくなってからテストすると,高速シャッターでも最初のショットからちゃんと開くようになった。試しに「ジャンクテスト用」のフィルムを装填し写してみると,巻き上げも,巻き戻しも,AFもAEも問題なく作動した。ほぼ完璧である。しかし私にはまだ一抹の不安があった。一晩放置したあとでもちゃんとシャッターが最初のショットからちゃんと開くだろうか?と。

 翌朝,起きると私はまずEOS650を取り出し,シャッターを最高速の1/2000にセットし,動作を確認した...ちゃんと開いた! 私はまた暫くカメラを放置し,昼に再確認したがやはりシャッターは問題なく作動した。
 かくして3000円で購入したEOS650はめでたく現役復帰確実となった。あとは実際に撮影テストをするだけだ。これでOKなら,早速実戦配備となる。
 キタムラ高取店は本当に我々の味方である。東京でも有り得ないような価格で,ちょっと手を加えればちゃんと動くカメラを提供してくれれる。
 一方の在庫豊富なあけぼの店は逆で,現状渡しのEOS650が相場の倍の¥27,800もし,また故障品のSR-T101が¥17,800もする。一体何を考えているのだろうか?作動不良のEOS10+内部までカビだらけのEF35-135mm USM (当初¥5,000で販売予定だった)をあけぼのはメーカーに修理に出し,現在¥59,800の価格で店頭に並べている。

 がんばれキタムラ高取店(&祇園店)

 ところで,EOS650完動美品,シャッター幕染み有り中古の買い取り値はどのぐらいであろうか?¥3,000以上は確実だと思うのだが...委託なら¥10,000も可能だろうか?
 画像は,染みの残るシャッター幕。

(投稿者:KEN,公開日:2003年05月10日)

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