キヤノンFTbは,1971年に発売されたフラッグシップ機キヤノンF-1と同様な,FDレンズでTTL開放測光に対応した普及モデルとして発売された。このカメラは,1973年に発売されたFTb-Nとよばれる改良機である。
2002年9月にいただいた。
このカメラを譲ってくださったのは,某大学の臨海実験所の先生である。そのような場所で使われ,長年にわたった放置されてきたせいか,画像のように表面にサビが浮き出ていた。また,フィルムカウンタが0に戻らなくなっていた。不思議なことに,このような状態でありながら,シャッターや露出計は動作している。このころのカメラは,基本的に丈夫だったのだろう。
動作はするが,なんといっても見た目があまりにも悲惨なので,とりあえず磨いてみることにした。布にアルミ用コンパウンドをとり,少しずつごしごしと磨いてみた。サビや汚れがおもしろいように落ちていく。ただ,細かいところは力をいれにくく,けっこう面倒である。手持ちぶたさなときに,ちょこちょこ磨きつづけるのがいいかもしれない。
磨きつづけると,まあなんとか見られる状態には戻ってきた。不思議なことに,磨いているうちに,フィルムカウンタが0に戻るようになっていた。機械というものは,愛情をこめて接してやれば,きっと応えてくれるのだろう。と,思うことにする。
(公開日:2002年10月21日)