kotani氏から持ちこまれたレンズである。1975年3月に発売された,ニッコール望遠レンズで,5群6枚構成の全群繰り出し式。Ai化される直前の製品であるが,光学系はその前後の製品と変わらない。EDガラスを使用しない廉価版として位置づけられている。
残念なことに,レンズにかなりのカビが生じている。カビが生じているのは,最後玉の後側表面と,4枚目レンズの後側表面。
最後玉の後側表面のカビは,レンズクリーナーをつけた綿棒で軽く拭くと,きれいにとれた。跡もほとんどわからない。
次に,4枚目レンズの清掃にチャレンジである。
鏡胴に小さなネジがある。これは鏡胴を固定するネジである。鏡胴はいくつかの金属筒をネジこんで連結したものであり,これをゆるめることで,鏡胴を2つにわけることができる。
組みこみフードの下に,さらに小さなネジがある。これをゆるめることで,さらに鏡胴をはずすことができる。
このようにして,中央部のレンズ群を取り出すことができた。表面についたカビをレンズクリーナー液をつけた綿棒で拭くが,ここはかなりガラス自身が侵食されており,跡が残ってしまった。
残念ながら,激しくカビが生じてしまったレンズは,完全にはもとにもどらないようである。しかし,ここまで洗っておけば,十分に使用できるし,また,これ以上悪化することはないだろう。このレンズはEDガラスを使用していないが,ズームレンズと違い,少ない枚数のレンズにより構成されたレンズによる描写は悪くない。また,大きくて重いが,その分,カッコイイのだ。
(公開日:1999年07月11日)