サモカオートマット電気露出計

露出計の動きは微妙だ

by ジャンク大帝

製品について

 磯川氏から持ちこまれた露出計である。革ケースに「SAMOCA」と書いてあり,日本の「三栄産業」の製品である。「三栄産業」が「サモカ35」シリーズのカメラを発売していたのは,1952年から1961年である。この露出計も,そのころのものであろう。

問題点

 メーターの指針が,スムースに振れない。とくに,中央から右へ振れるときに,なにかひっかかっているようだ。また,ダイヤルを回すと,突然に針が動き出すなど,動作が理解できない。

故障原因の推定

 メーターの指針の動作がおかしいとき,考えられる原因は2つである。1つは,指針がなにかにひっかかっている場合である。もう1つは,内部の可変抵抗器がガリオーム(腐食や摩耗等で抵抗器の表面がなめらかでなくなった可変抵抗器を音量調整に使うと,回すたびに「ガリガリ」というノイズが発生することなどから,可変抵抗器=バリオームをもじっていう)になっている。

分解・調整

 ダイアル中央部のネジをはずすと,ダイアルは簡単にはずれる。その下にあるネジをはずすと,簡単に開いた。
 まず電気接点について,アルコールで汚れを取り除き,接点復活剤で磨いた。しかし,指針の不審な動作は変わらない。
 ところで,指針の根元をよく見てみると,どうも軸がうまくはまっていないようだった。そこで,軸受けにあたる部分のネジをゆるめ,軸がうまくはまるように締めなおしたところ,指針はスムースに動くようになった。

 「セレンメーターの故障品はなおらない」と一般に思われているようだが,メーターのコイルが腐っていたり,セレン光電池そのものが劣化したりしていないなら,案外と単純なトラブルにすぎないことも少なくないようだ。また,セレンは意外と劣化しないようである。
 この露出計は反射光式のため,あまり厳密な測光には適当でないと思われる。しかし,このようなクラシカルな外観で,きわめて小型である点は,小型のクラシックカメラとよく似合いそうである。クラシックカメラを持ってのお散歩に,うってつけではないだろうか。

(公開日:1999年06月15日)

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