1991年10月ころに発売された,高速連写カメラである(ここで紹介する,広島東洋カープのロゴ入りバージョンの発売時期は未確認)。正面に8個のレンズが並んでおり,ライカ判2コマ分の画面に連続して8コマの画像を撮影する。8コマを撮影する時間は,「中速 2秒」「高速 1.2秒」「超高速 0.3秒」と3段階に切りかえられる。また,露光時間は1コマあたり1/250秒ということになっており,屋外において感度ISO400のフィルムの使用が推奨されている。
2007年9月に,カメラのキタムラあけぼの店のジャンクコーナーから救出。ここのジャンク品は1つ500円だが,まとめて5つ購入すると,1つあたり300円になる。
シャッターが動作しない。
外観はけっこうきれいなのだが,電池ボックスをあけると,接点が激しく腐食しているのが見える。電池の液漏れがあったのかもしれない。電池ボックスの接点をやすりで磨いても動作は認められず,内部にも腐食が広がっているものと考えた。
このカメラのシャッターは,円盤上に空けられたスリットが,円盤の回転に伴って8個のレンズの前を順次横切ることで,高速連写を実現している。このカメラの露出は固定で,巻き上げもノブ式(手動)であるため,電源はこのシャッターを回転させるためだけに用いられているものと考えられる。
このカメラの外見には,ネジがまったく見あたらない。電池ボックスのふたを開けると,そこにネジが1つある。次に,裏ふたを開けると,フィルムの巻き取り側と供給側にネジが見える。これらを全部はずし,さらに巻き戻しクランクのネジをはずす。
あとは,電池ボックスのふたをはずすように本体をこねると,カメラが前後に分かれるように開く。
なかを見ると,電池ボックスの付近が激しく腐食しており,電池の液漏れがあったことがうかがえる。
電池ボックスからのコードが腐食のために切れていたので,ここを清掃し,コードをハンダづけしなおした。
この状態で接点を短絡させると,シャッターが動作したので,問題点の1つは解消したことになる。さらにこのすぐ近くにある,シャッターレリーズの接点(プリント基板)も激しく腐食しており,接点としての役割を果たしていない。そこでこの部分にコードを延長し,あらたに接点を設けるようにした。
組み立ては,シャッターレリーズボタンを穴にはめた状態で簡単におこなえる。底部をぱちんとはめる前に,電池ボックスのふたをつけ忘れないようにすればいいだけである。巻き戻し軸は,すべてのネジを締めた後に,上から落としこむだけでよい。
フィルム巻き上げノブを受ける軸が破損しており,フィルムが送られない。
瞬間接着剤等を受けつけない素材のようなので,自動車補修用のパテを軸が折れたあとに練りこんだところ,なんとか固定されたようで,撮影可能な状態になった。