1979年に発売された,フラッシュ内蔵の一眼レフカメラである。一眼レフカメラであるが,レンズ交換はできない。シャッターはフォーカルプレーンシャッターでもなく,レンズシャッターでもなく,ミラーを利用した簡素なしくみのものが使われている。また,ボディはフラッシュフジカなどと同様のプラスチック製で,非常にコンパクトで軽い。
ファインダーを覗くと,横一直線の太い黒い影があり,画面が見えなくなっている。
言うまでもなく,プリズムの腐食である。分解してみると,プリズムの前方をモルトプレンが押さえており,これが腐食しプリズムの蒸着銀を侵したものである。こういうチープなボディのわりには,きちんとしたプリズムを使っている点はおもしろい。
プリズムを取り出すためには,上部カバーを開ける必要がある。これは,右側1本,左側3本のネジで止められている。左側は,表から見えるネジのほかに,巻き戻しクランクの下と,貼り皮の下にそれぞれ1本あるので,気をつけてみよう。
上部カバーをはずすと,このように立派なプリズムがきちんと止められていることがわかる。プリズムを止めているバネを,根元のネジごとはずしておく。
左側に見えるフラッシュの回路が,まさにこのカメラの特徴である。
プリズム前面は,腐食したモルトに沿って,蒸着面が腐食している。ファインダーを覗いたとき,その部分は光が反射しないので黒い影になっており,なにも見えない。それは,撮影の大きな支障になる。そこで,その部分をまずはガラスを傷つけないように削ぎ落としていく。
削ぎ落とした後,アルミホイルをきれいに伸ばし,削ぎ落とした部分全体をカバーするように,プリズムに巻きつける。
最後に新しいモルトをつけ,元通りに組み立てる。こうしてごまかしても,腐食した部分の像は不鮮明なものにすぎない。しかし,視界を完全にさえぎる黒い影は解消したので,撮影もなんとかこなせるようになる。
使える状態になれば,非常にコンパクトな一眼レフカメラとして,いつでも気軽に持ち歩くことができるようになる。しかも,フラッシュ内蔵なので,非常に便利である。
(公開日:2002年09月01日)